解決事例56

同族会社の役員である依頼者について、左脛骨高原骨折により後遺障害12級を獲得し、交通事故紛争処理センターに申し立て、合計約1640万円の賠償金を取得した事例

依頼者情報

57歳 男性 池田市在住

症状名

左脛骨高原骨折

事故状況

横断歩道上を歩行中、左側の道路から右折してきた四輪自動車にはねられ、転倒負傷した。

相談に至る経緯

相談者は、事故後治療を続け、症状固定した後に当方に相談に来られました。

また、弁護士が相談者から事情を聞き、相談者が既に主治医に作成してもらっていた後遺障害診断書を確認したところ、後遺障害が認定される可能性がありました。そのことを弁護士が相談者に説明したところ、相談者は、今後の自賠責保険への被害者請求、示談交渉について、当方に依頼されました。

結果

① 12級獲得

弁護士は、依頼者が通院していた病院に同行し、依頼者の治療経過や残存症状について、主治医から医学的見解を聴取しました。

また、後遺障害等級認定の申請をする際、依頼者から聞き取った自覚症状や主治医から聴取した事項を詳しく記載した弁護士作成の報告書を添付して申請しました。

その結果、左膝の神経症状等を理由に後遺障害12級が認定されました。

② 自賠責保険からの回収

  後遺障害慰謝料の一部として、相手方が加入している自賠責保険から224万円を回収しました。

③ 相手方との交渉

  弁護士は後遺障害12級を前提として損害額を算定し、相手方に請求しました。

  具体的には、入通院慰謝料約95万円、後遺障害慰謝料290万円、逸失利益約1700万円(年収総額の14%・13年分)等から相手方による既払金や自賠責保険から回収済みの金額を差し引いた約1860万円を請求しました。

ただ、依頼者は同族会社の役員であり、収入のほとんどが会社からの役員報酬でした。

逸失利益は、事故前年の年収を基礎として算定されますが、同年収が同族会社の役員報酬である場合、年収の中に会社の利益配当部分と労務対価部分が混在していることが多いです。

また、「労務対価部分のみが逸失利益の基礎となる」というのが裁判実務上の考え方ですので、依頼者の年収に占める労務対価部分の割合が今後争点となると考えられました。

その後、弁護士が相手方と交渉を開始したところ、相手方は逸失利益以外の損害については弁護士の請求額をほぼ満額認めました。

ただ、弁護士の予想どおり、相手方は、逸失利益について、「依頼者の年収には利益配当部分が多く含まれている。」と主張し、男性の平均賃金の14%・8年分で逸失利益を算定した上で、「逸失利益約580万円、示談総額約690万円」という対案を提示してきました。

これに対し、弁護士は、「本件の場合、役員報酬の総額は分かっているのであり、労務対価部分についても決算書等から妥当な金額を算定することは可能である。そのため、逸失利益について男性の平均賃金を依頼者の基礎収入として考えなければならない理由はない。相手方提案の逸失利益の金額は、低額すぎて到底受け入れられない。」と反論した上で、依頼者の経営する会社の決算書等の資料を相手方に送り、逸失利益に増額を求めて交渉を続けました。

それでも相手方は逸失利益の金額を200万円程度増額することしか認めなかったため、弁護士はこのまま示談交渉を続けても相手方が大幅な示談額の増額を認めることはないと判断し、依頼者に相談の上、交通事故紛争処理センターに申し立てました。

交通事故紛争処理センターの期日においても、弁護士は決算書等の証拠を提出した上で、依頼者と他の役員・従業員の職務内容や収入状況を詳細に比較検討する等して、弁護士の主張が正当であることを説明し、交渉を続けました。

その結果、交通事故紛争処理センターから「逸失利益約1250万円(役員報酬総額の約73%を基礎としてその14%・13年分)、示談総額約1415万円」という和解案が提示されました。

この時点までに依頼者から聴取した内容、収集できた証拠、後遺障害が認定された部位・理由等からすると、裁判で争ったとしても、逸失利益の金額が同和解案の金額より低くなる可能性がありました。

そのことを弁護士が依頼者に説明したところ、依頼者はこの和解案に納得されました。

その後、相手方もこの和解案を受け入れたため、最終的に示談額約1415万円(自賠責保険からの回収分と合わせて約1640万円)で合意しました。

解決のポイント

① 後遺障害に該当するかどうかの判断にあたっては、後遺障害診断書の内容が重視されます。

本件は、弁護士が依頼を受けた時点で後遺障害診断書は作成済みでしたが、その後弁護士が病院に同行して後遺障害診断書に記載されていない部分についても主治医から医学的見解を聴取し、その内容を記載した報告書を添付して後遺障害の申請をした結果、後遺障害12級を獲得できました。

② 弁護士が介入していない事案では、保険会社は裁判で認められる損害額よりもかなり低い金額しか損害として認めないことが多いです。

特に本件は、裁判でも争いになることの多い同族会社の役員の逸失利益が争点となる事案でしたので、弁護士が入った後も示談交渉段階では保険会社は裁判の見込よりも低い金額しか認めませんでした。

ただ、弁護士が交通事故紛争処理センターに申し立て、弁護士の主張が正当であることを詳細に説明し、かつ、それを裏づける証拠を提出することで、最終的には保険会社を納得させ、自賠責保険からの回収分と合わせて約1640万円の賠償金を取得できました。

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