解決事例26
中国人妻が交通事故で死亡した事案で、妻は在留資格を有する外国人であることを立証し、日本人と同じ賠償金を請求し、6050万円を取得して和解した事例
被害者情報
38歳女性(中国国籍)
依頼者情報
44歳男性(夫) 豊中市在住 70代女性(母・中国国籍)
症状名
死亡
事故状況
被害者が自転車専用道路を自転車で通行していたところ、右方向のみに注意を払っていた加害者車両が被害者に衝突し、被害者が死亡した。
相談に至る経緯
依頼者は、中国国籍の妻を亡くし、保険会社に対して損害賠償請求を行いました。ところが保険会社は、「依頼者の妻は中国国籍なので日本人と同等程度支払えるかわからない。」などと対応してきました。依頼者が妻の出生に関する資料を収集していると、会社の同僚から、「弁護士を入れないと、保険会社は極めて少ない金額しか支払ってこない。弁護士に依頼した方がよい。」とアドバイスされました。そこで依頼者は当方に依頼されました。
結果
被害者の相続人は夫と母でしたので、中国国籍の母からも依頼を受けることにしました。保険会社に対し、日本人の配偶者等の「日本で在留活動に制限がない在留資格がある場合」は日本人と全く同じく損害算定されることを保険会社に説明し、日本人と同じ計算方法によることを納得させました。また、中国の公証人にあたる人に、「被害者の相続人は夫と母のみである。」という公証書を作成してもらい、夫と母のみが相続人であることを立証しました。
一般に妻が死亡した場合の死亡慰謝料は2400万円程度ですが、母親の近親者としての慰謝料を上乗せすべきだと主張し、2700万円に増額させました。逸失利益については、被害者がパート主婦であったことから、実収入より多い平均賃金で計算し、約3800万円を認めさせました。ただ、保険会社は過失相殺として10%の減額を要求してきました。依頼者は納得できませんでしたが、加害者の刑事記録を取り寄せたところ、目撃者がおられました。その証人によれば、「被害者はまっすぐ前を見ていて車に全く気付いていなかった。」とのことでした。そうすると、被害者にも過失が全くなかったとはいえません。そのため、依頼者は過失相殺10%を受け入れることにしました。そうすると損害額は約6000万円になる計算でした。
被害者は集中治療室で1週間ほど入院していましたので、自由診療で400万円以上の治療費がかかっており、それを保険会社が負担していました。保険会社は、「保険診療に切り替えてほしい。そうすれば治療費の支払額が減るので、6000万円での和解に応じる。」と伝えてきました。そこで弁護士は病院と交渉し、保険診療に切り替えてもらいました。治療費の支払金額が減った保険会社は当方の要求に応じることにしてくれました。
弁護士が保険会社と交渉して、さらに50万円増額させ、6050万円で和解しました。被害者の母には中国銀行を通じて送金しました。
解決ポイント
保険会社は、裁判で認められる賠償金の半額以下で和解しようとするのがほとんどです。死亡事案のような賠償金が高額な案件は、必ず弁護士に依頼すべきです。本件も弁護士が入ったからこそ、6050万円で解決できたのであって、依頼者が行っていたら、3000万円程度で和解させられた可能性が高いです。