解決事例36
頚椎捻挫、腰椎捻挫で後遺障害14級の事案で、専業主婦の休業損害約51万5000円、逸失利益64万5000円等を認めさせ、保険会社の提示額163万円を314万円に増額させた事例
依頼者情報
61歳 女性 豊中市在住
症状名
頚椎捻挫 腰椎捻挫
事故状況
自動車で信号待ちをしていたところ、後方から加害車両に追突された。
相談に至る経緯
保険会社が示談案を提示してきたが、金額に不満があったため当方に相談に来られた。保険会社の示談案では専業主婦としての休業期間が30日で計算されている等、裁判で認められる金額よりもかなり低いことが判明したので、当方に依頼された。
結果
依頼者は専業主婦であり、頚椎捻挫、腰椎捻挫が原因で神経症状が残り、後遺障害14級が認定されていました。また、この障害により事故前と比べて家事に支障が出ていました。
当初の相手方の示談案は、休業損害約17万円、入通院慰謝料約65万円、後遺障害慰謝料40万円、後遺障害による逸失利益約41万円であり、他の損害と合わせて合計約163万円でした。
専業主婦の方でも、家事従事者の平均収入を基礎として、家事に支障が生じた割合に応じて休業損害を請求することができます。また、頚椎捻挫や腰椎捻挫により14級の後遺障害が残った場合、逸失利益として年収の5%を2年~5年分請求することができます。
しかし、相手方は特に根拠もなく休業損害を休業期間30日で計算していました。また、後遺障害による逸失利益について、基礎収入を家事従事者の平均年収よりも低い約303万円を基礎として3年分で計算していました。さらに、入通院慰謝料や後遺障害慰謝料についても特に根拠なく裁判で認められる金額よりも低く提示していました。
そこで弁護士は、依頼者から家事にどの程度の支障が生じていたのかを具体的に聞き取ったうえで休業損害を算定し、後遺障害による逸失利益、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料についても裁判所の基準で算定して相手方に請求しました。
これに対し相手方は、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料について大阪地裁の基準で算定し直し、入通院慰謝料約81万円、後遺障害慰謝料110万円に増額してきました。
また、休業損害を約30万円に増額し、後遺障害による逸失利益についても家事従事者の平均年収を基礎収入として計算することを認めたうえで約50万円(3年分)に増額し、他の損害と合わせて合計約277万円という示談案を提示してきました。
277万円でも当初の示談案より100万円以上増額していましたが、弁護士はさらなる増額を求めて粘り強く交渉を続けました。また、本件の場合、逸失利益は2年~5年分認められるものなので、裁判で争っても3年分以下しか認められない可能性がありました。そこで、弁護士は逸失利益について、5年分と相手方の案である3年分の中間値をとり、4年分で算定するという案を相手方に提示しました。
その結果、相手方は、休業損害を約51万5000円、逸失利益を約64万5000円(4年分)に増額し、他の損害と合わせて合計314万円という示談案を提示してきました。
依頼者がこの内容で納得されたので、最終的に314万円で合意しました。
解決ポイント
保険会社は裁判で認められる額よりも低い額を提示してきます。本人が直接保険会社と交渉しても、保険会社はほとんど増額を認めません。
特に、本件のように後遺障害等級が認定されている事案では、後遺障害慰謝料や逸失利益が高額になる場合がありますので、安易に保険会社の示談案で合意してしまうと、本来示談金として取得できたはずの金額よりも著しく低い金額しか取得できない結果となるおそれがあります。
本件は、弁護士に依頼したおかげで、約151万円増額できました。