解決事例39
右上腕骨頭陥没骨折等により後遺障害12級を獲得し、合計約852万円の賠償金を取得した事例
依頼者情報
45歳 男性 箕面市在住
症状名
右肩腱板損傷 右上腕骨頭陥没骨折 頚椎捻挫 腰椎捻挫 胸部打撲 右足関節捻挫
事故状況
交差点を自転車で直進していたところ、右側から交差点に侵入してきた自動車に衝突され、転倒負傷した。
相談に至る経緯
相談者は事故後1年以上通院しても肩に痛みが残っており、事故前に比べて右肩が回らないようになっていた。今後の損害賠償手続きの流れや相手方に請求できる金額等が分からなかったため、当方に相談に来られた。弁護士が相談者から事情を聞いたうえで、「後遺障害等級が認定された場合、相手方保険会社に請求できる金額が大きくなる。右肩が回らないことを理由に12級の後遺障害等級を獲得するのは難しいかもしれないが、肩の痛み(神経症状)を理由に12級や14級の後遺障害等級を獲得できる可能性がある。」と説明した結果、当方に依頼された。
結果
① 12級獲得
弁護士は依頼者がリハビリに通っている病院に同行し、依頼者の主治医に後遺障害診断書に記載すべきポイントや判定機関が重視する情報を伝えたうえで、後遺障害診断書を作成してもらいました。
その結果、的確な後遺障害診断書を作成していただけたので、無事12級が認定されました。
② 自賠責保険からの回収
後遺障害慰謝料、休業損害及び通院交通費の一部を相手方が加入している自賠責保険に請求し、自賠責保険から約252万円回収しました。
③ 相手方との交渉
依頼者が被った損害のうち、自賠責保険から取得した金額を差し引いた額を相手方に請求しました。
具体的には、通院交通費約8万5000円・休業損害約21万5000円・逸失利益約520万円(年収の14%・67歳まで21年分)、通院慰謝料約175万円、後遺障害慰謝料280万円のうち、自賠責保険から回収した約252万円を引いた約753万円を請求しました。
相手方は、逸失利益以外の損害については弁護士の請求を満額認めましたが、逸失利益については、年収の14%を10年分で計算した約313万円(損害合計約546万円)しか認めませんでした。
後遺障害12級が認定された場合、原則として年収の14%を症状固定時の年齢から67歳までの分逸失利益として請求できます。
しかし、認定された後遺障害が神経症状を理由とするものである場合、将来神経症状が改善する可能性があるため、裁判例の中には逸失利益が認められる期間を短縮するものもあります。
脳や脊髄の負傷のように神経症状の改善が容易ではないと通常考えられる場合は、逸失利益を67歳までの分認める裁判例も多いですが、依頼者が事故により負傷したのは右肩だったので、裁判で争った場合、逸失利益が相手方の提示する10年よりも短い期間しか認められない可能性がありました。
弁護士はそのことを依頼者に説明した結果、依頼者は逸失利益を10年分で示談することに納得されました。
その後、弁護士は依頼者のために少しでも示談額を増額させるため、後遺障害によって生じている依頼者の生活上の支障等を相手方に伝えて交渉し、最終的に600万円(自賠責保険からの回収分と合わせて合計約852万円)で合意しました。
解決ポイント
① 医者が作成する後遺障害診断書には記載が不十分なものもあり、そのために本来認定されたはずの後遺障害が認定されないことがあります。
本件は、後遺障害診断書作成前にご依頼いただけたため、弁護士の病院同行により的確な後遺障害診断書を作成してもらうことができ、後遺障害12級を獲得できました。
② 弁護士が介入していない事案では、保険会社は裁判で認められる額の半額以下しか損害として認めないことが多いです。
本件は後遺障害診断書作成前(相手方が示談案を提示する前)にご依頼いただけたため、損害賠償請求当初から弁護士が入って相手方と交渉することができました。そのため、相手方にも交渉当初から裁判で認められる損害額を前提とした示談案を提示させることができ、最終的にも裁判で認められる損害額を前提とする示談ができました。