解決事例43
「醜状痕については逸失利益を認めない。」と主張する相手保険会社を説得し、逸失利益270万円認めさせ、当初示談案280万円から350万円増額させて630万円で示談した事例
依頼者情報
9歳 女性 豊中市在住
症状名
右下腿部第3度熱傷・挫滅創後の右下肢の瘢痕、右上肢2度熱傷後の左上肢の瘢痕
事故状況
信号のない横断歩道を自転車で横断中、横から乗用車にぶつけられた。
相談に至る経緯
相談者は、右下肢に手のひらの3倍の瘢痕が残り、後遺障害12級が認められ、かつ左上肢にも手のひら大の瘢痕が残り、同14級が認められました。
保険会社に損害賠償請求したところ、「醜状痕については、労働能力が低下しているわけではないから、逸失利益は認められない。」と言われ、低額の示談案を提示されました(総額280万円)。
そこで、この示談案が法的に適正なものなのかを判断してもらうため、相談者は当事務所に相談に来られました。
頭部・顔面部・頸部のような日常露出する場所に醜状が残った場合、対人関係活動に消極的になるなどの形で間接的に労働に影響を及ぼすので、逸失利益が認められます(12級だと年収の14%)。
ただ本件の場合、醜状痕が下肢や上肢という衣類に隠れる部分でしたので、逸失利益が認められるとしても、顔面部の場合の半分以下の可能性がありました。ただ、逸失利益が全く認められないというのは不合理でした。
また、保険会社の示談案は、判決になった場合と比べると、入通院慰謝料については約10万円、後遺障害慰謝料についても約70万円少ないものでした(総額280万円)。
そこで、逸失利益・入通院慰謝料・後遺障害慰謝料の増額を求めて相談者は当事務所に依頼されました。
結果
弁護士は、逸失利益として18歳~67歳までの総額600万円を請求するとともに、入通院慰謝料・後遺障害慰謝料の増額を求めました。逸失利益については、600万円の半額300万円を認めさせようという戦略でした。
相手方は入通院慰謝料・後遺障害慰謝料の増額は認めましたが、逸失利益については「労働能力は減少していない。服に隠れる場所だ。」と主張し、当初認めませんでした。
しかし、弁護士は「被害者は女の子であり、将来スカートやノースリーブを着用したり、水着になることもある。逸失利益が全く認められないのは不合理だ。」と相手方を説得しました。
その結果、相手方は逸失利益として120万円を認めてきました。しかし、300万円程度は認めるべきだと考えた弁護士はその後も粘り強く相手方を説得し、240万円、270万円と相手方に増額を認めさせました。
相談者・弁護士は逸失利益300万円を目標としていましたが、相手方から270万円が出たことで相談者が納得されました。そこで逸失利益は270万円とし、総額630万円で示談を成立させました。
解決のポイント
被害者本人が自分で交渉しても、保険会社は「醜状痕については、労働能力が低下しているわけではないから、逸失利益は認められない。」と主張し、醜状痕について逸失利益を認めないのが通常です。
本件では、弁護士が法的知識に基づいて「対人関係活動に消極的になるなどの形で間接的に労働に影響を及ぼすので、逸失利益を認めるべき。」と交渉しましたので、保険会社は逸失利益を認めました。
醜状痕について逸失利益を認めさせるには、弁護士に依頼することが重要です。