解決事例53
頚椎捻挫等により後遺障害14級を獲得し、交通事故紛争処理センターに申し立て、合計約285万円の賠償金を取得した事例
依頼者情報
52歳 男性 豊中市在住
症状名
頚椎捻挫 末梢神経障害 左上肢不全麻痺
事故状況
知人の運転する自動車に同乗して信号待ちで停車中、後方から相手方自動車に追突され、負傷した。
相談に至る経緯
相談者は、相手方保険会社の担当者の対応が悪かったため、同担当者と今後自分で示談交渉等を行うことは難しいと考え、当方に相談に来られました。
また、弁護士が相談者から事情を聞いたところ、今後通院を続けて症状固定した時点で強い痛みや痺れが残っていれば、後遺障害等級14級が認定される可能性がありました。
弁護士がそのことを相談者に説明したところ、相談者は今後の対応を当方に依頼されました。
結果
① 14級獲得
弁護士は、症状固定時に依頼者が通院している病院に同行し、依頼者の主治医に後遺障害診断書に記載すべきポイントや判定機関が重視する情報を伝えたうえで、的確な後遺障害診断書を作成してもらいました。
また、後遺障害等級認定の申請をする際、依頼者から聞き取った自覚症状を詳しく記載した書面等を添付して申請しました。
その結果、頚部の神経症状を理由に後遺障害14級が認定されました。
② 自賠責保険からの回収
通院慰謝料や後遺障害慰謝料の一部として、相手方が加入している自賠責保険から約125万円を回収しました。
③ 相手方との交渉
相手方は、事故後約4か月半で治療費の病院への立替払いを一方的に打ち切ってきましたが、依頼者は、その後も自費で通院を続け、事故後約6か月通院した時点で症状固定となっていました。
相手方が治療費の立替払いを打ち切ってから症状固定日までの間の治療費・通院慰謝料も含めて弁護士が損害額を算定したところ、治療費・通院交通費・通院慰謝料・後遺障害慰謝料・逸失利益が合計約250万円になりました。
また、依頼者は自営業者でしたが、事故による傷害が原因で事故後数か月仕事ができませんでしたので、依頼者には休業損害が発生していると考えられました。
そこで、弁護士は、上記損害額に休業損害約186万円を上乗せした上で、自賠責保険から回収済みの約125万円を差し引いた約312万円を相手方に請求しました。
相手方は、「依頼者の怪我は軽微なはずであるから治療費の立替払いを打ち切った時点までの治療費や通院慰謝料しか払わない。休業の必要性もなかったはずであるから、休業損害も支払わない。」と主張し、総額約95万円の示談案を提示してきました。
これに対し、弁護士は、「相手方が一方的に治療費の立替払いを打ち切った後も依頼者は自費で通院を続け、症状固定時点で後遺障害まで残っているにもかかわらず、“軽微な怪我”というのは言語道断である。」と反論し、相手方と交渉を続けました。
しかし、それでも相手方はわずかしか示談額の増額を認めず、理不尽な主張を続けたため、弁護士は、これ以上相手方と直接交渉していても解決は難しいと判断し、交通事故紛争処理センターに申し立てました。
弁護士は、交通事故紛争処理センターの期日でも「依頼者の主治医は症状固定日を後遺障害診断書に明記しており、かつ、その時点での依頼者の症状や治療経過から後遺障害まで認定されているのであるから、症状固定日までの治療費や通院慰謝料を損害と認めない相手方の主張には全く根拠がない。」と主張し、相手方の主張の不当性を訴えました。
また、事故前年・事故当年の依頼者の仕事の売上等を示す証拠を提出し、「依頼者には休業損害も発生している。」と主張しました。
その結果、交通事故紛争処理センターから、症状固定日までの依頼者の通院状況や通院期間に不自然な点がないことを理由に、事故~症状固定日までの期間を前提に算定した治療費や通院慰謝料等を全て事故による損害として認め、かつ、休業損害についても40万円を損害として認める内容の和解案が提示されました。
具体的には、総額160万円(自賠責保険からの回収分と合わせて約285万円)という和解案でした。
交通事故紛争処理センターの和解案は、休業損害以外の損害については、弁護士の主張を全面的に認める内容でした。
また、自営業者の休業損害は原則として確定申告書上の所得額を基準として算定されることになりますが、依頼者の場合これを前提とするとかなり休業損害が低額になってしまうため、裁判になった場合、依頼者の休業損害は上記和解案よりも低い金額しか認められない可能性がありました。
そのため、依頼者は上記和解案に納得され、最終的に示談額160万円(自賠責保険からの回収分と合わせて約285万円)で合意しました。
解決のポイント
① 後遺障害に該当するかどうかの判断にあたっては、後遺障害診断書の内容が重視されます。
また、後遺障害診断書には後遺障害等級を獲得するために記載すべきポイントや検査結果等がありますが、医師が作成する後遺障害診断書には記載が不十分なものもあります。
そのため、医師の作成する後遺障害診断書の内容によっては、本来認定されたはずの後遺障害が認定されないことがあります。
本件は、弁護士が病院に同行して主治医に必要な検査等を行ってもらい、的確な後遺障害診断書を作成してもらうことができましたので、後遺障害14級を獲得できました。
② 弁護士が介入していない事案では、保険会社は裁判で認められる損害額(裁判基準)よりもかなり低い金額しか損害として認めないことが多いです。
本件では、相手方は、弁護士に対しても理不尽な主張を繰り返し、示談交渉の段階では裁判基準に近い金額まで示談額を増額させることを認めませんでした。
ただ、弁護士が交通事故紛争処理センターに申し立て、毅然と相手方に反論を続けた結果、裁判基準を前提とした内容の和解が成立し、自賠責保険からの回収分と合わせて約285万円の賠償金を取得できました。