解決事例56
依頼者過失40%の事例で、保険会社の提示してきた示談案から約100万円示談額を増額させて示談した事例
依頼者情報
78歳 男性 大阪市在住
症状名
右大腿骨転子部骨折
事故状況
交差点を自転車で直進中、左方向から直進してきた四輪自動車に衝突され、転倒負傷した。
相談に至る経緯
相談者は、後遺障害12級が認定され、保険会社から示談案を提示されていましたが、その損害額や過失割合が適正なのかどうか判断できなかったため、当方に相談に来られました。
弁護士が相談者から事故状況等を聞いたところ、「相談者の過失40%」という保険会社の主張を裁判で争って損害賠償額を増額させるのは困難と考えられましたが、それでも保険会社の提示している金額は裁判で認められる見込額よりも低いことが分かりました。
そのことを弁護士が相談者に説明したところ、相談者は自分で保険会社と示談金の増額交渉を行うのは難しいと判断され、当方に依頼されました。
結果
依頼者が当方に相談される前の相手方の示談案は、「休業損害約77万円、入通院慰謝料約113万円等の損害額から依頼者過失分40%及び既払金を控除した約305万円を示談金として支払う」という内容でした。
しかし、相手方が主張している損害額は、いずれも裁判で用いられる基準(裁判基準)とは異なる自賠責保険の基準又は保険会社独自の支払基準で算定されていたため、裁判で認められる見込額よりも示談額が低くなっていました。
そこで弁護士は、裁判基準で損害額を算定し、休業損害約93万円、入通院慰謝料約186万円、後遺障害慰謝料290万円、逸失利益約156万円等の損害額から依頼者過失分40%及び既払金を控除した約411万円を請求しました。
ただ、弁護士が相手方に請求した損害の内訳の中には、入院時の個室の利用料金(医師の指示ではなく依頼者が個室を希望したために生じた費用)約12万円等、裁判では損害として認められない可能性が高いものも含まれていました。
それでも弁護士は少しでも示談額を増額させるために相手方と交渉しました。
その結果、相手方は「入院時の個室の利用料金等は本来損害として認められないが、今回は全て請求どおり損害として認めるので、後遺障害慰謝料のみ大阪地裁の基準で算定した金額(280万円)に変更してもらい、示談額を406万円とする内容で示談に応じてほしい。」という新たな示談案を提示してきました。
もともと弁護士は大阪地裁の基準で算定した金額よりも高めに後遺障害慰謝料を算定して相手方に請求していましたが、依頼者は大阪在住のため、裁判するのであれば大阪地裁に訴訟提起することになると考えられました。
そのため、裁判で争っても、相手方が提示してきた示談額よりも低い金額しか判決で認められない可能性が高いと考えられました。
依頼者も、相手方の新たな示談案に納得されたので、最終的に示談額406万円で合意しました。
解決のポイント
保険会社は本件のように自賠責保険の基準や保険会社独自の基準で損害額を算定する等して、裁判基準で算定した損害額よりも極めて低い示談額を提示してきます。
本件は、依頼者過失40%と比較的依頼者の過失が大きい事案でしたが、弁護士に依頼したおかげで、示談額を約100万円増額できました。