解決事例57
依頼者過失15%の事例で、86万円の賠償金を取得した事例
依頼者情報
54歳 男性 豊中市在住
症状名
頚椎捻挫 左前腕部打撲
事故状況
自動車を運転して優先道路を直進中、丁字路交差点で左方から進入してきた相手方自動車に衝突された。
相談に至る経緯
相談者は事故から約6か月通院していましたが、症状固定となったため、当方に相談に来られました。
相談者は以前にも交通事故に遭っており、その時は頚椎捻挫と診断されて症状固定時の神経症状を理由に後遺障害14級が認定されました。
相談者は、今回の事故の症状固定時に首の痛みが残存していましたが、前回の事故からそれほど年数は経過しておらず、かつ、前回の事故でも相談者は頚椎捻挫の傷害を負い、その後遺症により今回の事故前から首に痛みを抱えていました。
これに加え、主治医から「症状固定時の残存症状は今回の事故を理由とする後遺障害には該当しない可能性が高い。」と聞いていたので、相談者も今回の事故を理由に後遺障害が認められないことについては納得していました。
もっとも、依頼者は自分で相手方保険会社と示談交渉を行うのは難しいと考えていたため、今後の相手方保険会社の示談交渉を当方に依頼されました。
結果
弁護士が受任した後、相手方から診療報酬明細書等の損害額算定に必要な資料と一緒に示談案が送られてきました。
その示談案は、「自賠責保険の傷害保険金上限額の120万円から既払金約61万円を控除した金額が約59万円であり、この金額は相手方保険会社の基準で算定した依頼者の全損害額から依頼者過失分15%及び既払金を控除した金額(約51万円)よりも大きいので、自賠責保険の基準で算定した約59万円を示談金として支払う。」という内容でした。
しかし、相手方が主張している「相手方保険会社の基準」というのは、裁判で用いられる基準(裁判基準)よりも損害額が低くなるような基準であり、相手方の示談案では依頼者の休業損害にも触れていなかったため、裁判になった場合の判決見込額は約59万円よりも高くなると考えられました。
そこで弁護士は、休業損害約26万円、通院慰謝料約95万円等の損害額から依頼者過失分15%及び既払金を控除した約95万円を支払うよう相手方に請求して交渉しました。
その結果、相手方は「通院慰謝料を大阪地裁の基準で算定し、その他の損害については全て弁護士の請求どおりに認める。そうすると示談額は総額86万円となるのでこれを支払う。」と示談額を増額してきました。
もともと弁護士は大阪地裁の基準で算定した金額よりも高めに通院慰謝料を算定して相手方に請求していましたが、依頼者は大阪在住のため、裁判するのであれば大阪地裁に訴訟提起することになると考えられました。
そのため、裁判で争っても、通院慰謝料については相手方の主張どおりになる可能性が高いと考えられました。
また、休業損害についても、依頼者は自営業者であり、収入の減少を裏付ける立証資料も十分とはいいきれませんでしたので、裁判になると弁護士の請求額よりも低くなる可能性がありました。
このことを弁護士が依頼者に説明したところ、依頼者も相手方の新たな示談案に納得されたので、最終的に示談額86万円で合意しました。
解決のポイント
保険会社は本件のように自賠責保険の基準や保険会社独自の基準で損害額を算定する等して、裁判基準で算定した損害額よりも低い示談額を提示してきます。
本人が直接保険会社と交渉しても、保険会社はほとんど増額を認めません。
本件は、2度目の交通事故で前回の事故と同じ部位に傷害を負ったというやや特殊な事案でしたが、弁護士に依頼したおかげで、裁判基準で算定した通院慰謝料等86万円を取得する内容で示談ができました。