解決事例58
頚椎捻挫により後遺障害14級を獲得し、合計約351万円の賠償金を取得した事例
依頼者情報
43歳 女性 三田市在住
症状名
頚椎捻挫 外傷性抹消神経障害
事故状況
自動車の助手席に乗って道路を直進中、交差点で相手方自動車に衝突され、負傷した。
相談に至る経緯
相談者は、事故後6か月程度通院治療を続けていましたが、今後の後遺障害等級の申請や保険会社との示談交渉について不安に思っていたため、当方に相談に来られました。
弁護士が相談者から事情を聞いたところ、相談時点でも相談者には強い痛みが残存しており、通院頻度等も考慮すると、相談者に後遺障害等級14級が認定される可能性が十分にあると考えられました。
そのことを弁護士が相談者に説明したところ、相談者は当方に依頼されました。
結果
① 14級獲得
弁護士は、症状固定時に依頼者が通院している病院に同行し、依頼者の主治医に対して後遺障害診断書について判定機関が重視するポイントや依頼者の残存症状等を説明した上で、的確な後遺障害診断書を作成してもらいました。
その上で、弁護士が後遺障害等級認定の申請を行った結果、頚部の神経症状を理由に後遺障害14級が認定されました。
② 自賠責保険からの回収
損害賠償金の一部として、相手方が加入している自賠責保険から約98万円を回収しました。
③ 相手方との交渉
依頼者は専業主婦で事故前から同居する夫の家事を行っていましたので、家事従事者としての休業損害や逸失利益も発生していると考えられました。
そこで、弁護士は後遺障害14級を前提とし、かつ、依頼者に家事従事者としての休業損害や逸失利益が発生していることを前提として損害額を算定し、相手方に請求しました。
具体的には、通院慰謝料約95万円、後遺障害慰謝料110万円、休業損害約72万円、逸失利益約83万円等から相手方による既払金や自賠責保険から回収済みの金額を差し引き、約268万円を相手方に請求しました。
これに対し、相手方は「①休業損害は44万円程度が相当である。②通院慰謝料は裁判基準で算定されているが、示談交渉段階なので2割減額してほしい。③逸失利益は5年分で計算されているが、3年分に減額してほしい。」と主張してきました。
弁護士は、「①休業損害は、弁護士が依頼者から聴取した事実関係を前提に適切に算定したものであり、裁判例と比較して高いわけでもないので、減額する理由はない。②通院慰謝料についても、“示談交渉だから2割減額する”というのは全く合理的な理由になっていない。訴訟をすれば当方の請求が認められるのであるから、全額支払うべき。」と反論して交渉し、休業損害と通院慰謝料については、弁護士の請求額を相手方に満額認めさせました。
③逸失利益について、頚椎捻挫による神経症状を理由に後遺障害14級が認定されている場合、専業主婦であっても女性労働者の平均年収を基礎として逸失利益を請求できますが、その場合逸失利益として請求できるのは基礎年収の3年~5年分です。
弁護士は5年分で逸失利益を算定して相手方に請求していましたが、裁判になった場合、相手方の主張する3年分の逸失利益しか認められない可能性もありました。
そこで、弁護士は、依頼者と相談した上で、4年分の逸失利益(約68万円)で損害額を算定することを相手方に提案して交渉し、これを相手方に認めさせました。
そのため、最終的に示談額合計約253万円(自賠責保険からの回収分と合わせて約351万円)で合意しました。
解決のポイント
① 後遺障害に該当するかどうかの判断にあたっては、後遺障害診断書の内容が重視されます。
本件は、弁護士が病院に同行して、主治医に的確な後遺障害診断書を作成してもらうことができましたので、後遺障害14級を獲得できました。
② 弁護士が介入していない事案では、保険会社は、特に合理的な理由もなく裁判で認められる損害額よりもかなり低い損害額しか認めないことが多いです。
本人が直接保険会社と交渉しても、保険会社はほとんど増額を認めません。
本件では、相手方保険会社は、当初裁判基準で算定した損害額からの減額を主張していましたが、弁護士が毅然と反論した結果、裁判基準で算定した損害額を前提に示談が成立し、自賠責保険からの回収分と合わせて約351万円の賠償金を取得できました。